第38回CAPS研究会 11/28 松本敦 先生 (関西福祉科学大学)・報告

講演者:松本 敦 先生(関西福祉科学大学)

日 時: 2019年11月28日(木)15:10~16:40
場 所: 関西学院大学 F号館303教室

タイトル:実環境下での脳波計測とその解析

要旨:現在の認知神経科学的研究では,統制された条件下で行う実験が主流である。しかしここ数年,実環境下に近い自然な状況での脳活動の計測の必要性が叫ばれてきている。特に脳波は他の神経科学的計測法と比較して,計測を手軽に行うことが可能であり,実環境下の計測に関して大きな期待がかけられている。実際にここ数年,自然なスピーチや動画を視聴中,あるいは運動中などの脳波を計測し,その脳活動から情報を抽出する試みが行われるようになってきている。このような試みが可能になった背景には主にデータ解析面の技術の飛躍的な向上があるといって間違いない。本発表では近年報告されている実環境下での脳波計測研究とその解析方法を概観し,その意義とこれからの可能性に関して議論したい。また,具体的な研究として外国語スピーチ聴取中の脳波解析結果から脳波から外国語能力を推測する可能性に関しても言及したいと考えている。

◯参加に際し、文学部・総合心理科学、文学研究科・総合心理科学専攻の方の事前連絡は必要ありません。
それ以外の方は、教室変更時などのお知らせのため、石井(issy41[at]kwansei.ac.jp)まで、ご一報いただきますと幸いです(必須ではありません)。

報告:

これまでの脳波研究は刺激を統制し,厳密な実験室実験として行われてきた。実環境下での脳波計測には比較的大きなノイズやイベントの不規則性が存在するものの,近年の解析技術の発達はそれらの問題を解決してきている。今回の研究会では,松本先生より実環境下で脳波計測が行われた実例として,脳波データの被験者間相関が大集団の行動を予測する可能性を示した研究(Dmochowski et al., 2014, Nature communications)や,先生自身の行われた研究として英語スピーチ聴取時の脳波を記録した研究が紹介された。それらの研究を踏まえ,実環境での脳波計測の今後の応用可能性や課題が議論された。

(文責:石井)

 

参加人数:12人